健康経営の取り組みステップ

健康経営の取り組みステップ

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超高齢化社会に突入した今、ただ長く生きることから、いかに人生の質を高めて生きるかに焦点が移りつつあります。いわゆる、健康寿命の延伸を考える上で、一日の多くを費やす職場での過ごし方は非常に重要です。職場環境の改善に向けて、最近よく耳にする健康経営への取り組みを検討している企業も多いのではないでしょうか。
ここでは、健康経営に取り組む必要がある企業や、取り組みに必要な健康宣言についてご紹介します。また、健康経営の取り組み方について解説していきましょう。

1. 健康経営とは?

健康経営は、従業員の健康を大切な経営資源のひとつと捉え、戦略的にその維持と向上に取り組む企業経営の形を指します。
健康経営によって従業員の健康が増進すると、次に挙げるようなプラスの変化が生まれ、将来的には企業の業績や収益の向上につながることが期待できます。

1-1. 労働生産性の上昇

過重労働による肉体疲労、ストレスが軽減し、従業員の仕事に対する集中力が上がります。結果的に仕事の質が上がり、クライアントからの評価も高まるでしょう。

1-2. 人材の定着、確保

働きやすさの向上に伴って離職率が低下し、人材が定着します。また、企業イメージが良くなることによって求職者の信頼が得やすくなり、優秀な人材を獲得しやすくなります。

1-3. 医療費削減による企業負担の低減

健康な従業員が増えれば、企業が負担する医療費が減り、企業負担が低減されます。

2. 健康経営に取り組むべき企業とは?

健康経営はすべての企業において必要な考え方ですが、中でも早急に取り組むべき企業には次のような特徴があります。

2-1. 長期休職者が多い、離職率が高い

厚生労働省が実施した「令和2年 労働安全衛生調査」によれば、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は61.4%で、前年より2.2ポイント上昇しました。取り組みの効果もあってか、メンタルヘルスの不調が原因で連続1ヵ月以上休業した従業員、または退職した従業員がいた事業所の割合は9.2%と、前年より減少しています。

こうした中、長期休職者や離職者が多い企業では、職場環境に強いストレスを感じている従業員が多く、企業の介入が進んでいないといえます。
働き盛りといわれる40~50代には、仕事に起因するメンタルヘルスの悪化から自殺を選ぶ人も少なくないため、健康的に働ける環境の整備は喫緊の課題です。

2-2. 人手不足で、既存の従業員の負担が大きい

売り手市場が続く中、人材確保に悩む企業は少なくありません。人手不足が続くと、既存の従業員がカバーする範囲が広がり、一人ひとりの負担が増大します。長時間の残業や休日出勤が常態化すれば、肉体的にも、精神的にも休まる暇がなく、知らず知らずのうちに追い詰められてしまう社員も出てくるでしょう。
こうした状態で無理矢理仕事をしても、効率も質も上がりません。企業への信頼を損なうおそれもあるため、早急に改善に乗り出す必要があります。

2-3. 高齢化が進んでいる

少子高齢化が進む日本では、若年層の獲得が年々困難になり、社員構成比率の高齢化に悩む企業が増えています。社員の年齢層が上がると、会社が硬直化したり、スピード感がなくなったりするほか、病気による突然の職場離脱のリスクが高まります。
職場の中心的存在として意欲的に働く中高年社員を失わないためにも、会社が積極的に健康管理を進めることが大切です。

2-4. ストレスチェックの結果が悪い

ストレスチェックは、従業員のメンタルヘルス不調を早期に発見し、悪化を防ぐ目的で、50人以上の従業員がいる事業場に定期的な実施が義務づけられている検査です。
検査の結果、状態が悪い人を示す「高ストレス者」の割合が高い企業は、さらなる悪化を防ぐため、積極的に健康経営に取り組むべきだといえるでしょう。

2-5. 有給休暇取得率が低い

有給休暇の取得は、一定期間働いている人に与えられた権利です。取得率が低い企業の従業員は、「自分が休んだら代わりがいない」「休むことで誰かに迷惑をかける」といった責任感や、有給取得が評価に響くのではないかという不安から、取得を躊躇している可能性があります。
こうした風土は、従業員満足度やエンゲージメントの低下につながります。早期に健康経営を導入し、社員が有給取得という当然の権利を障壁なく行使して、いきいきと働ける職場を作りましょう。

3. 健康宣言とは?

健康経営を行うことは、対外的な信用度や、企業としてのブランド力を高める効果もあります。こうした効果をより高めるには、優良な健康経営を実践している大企業や中小企業などの法人を顕彰する「健康経営優良法人」の認定を受けるのが最善の方法です。
そして、健康経営優良法人の認定を受けるための最初の要件に、健康宣言があります。健康宣言とは、企業として従業員の健康づくりに取り組むことを経営者が宣言するものです。
企業が健康宣言を行って健康経営に取り組み、その結果が評価されると健康経営優良法人に認定されます。

健康経営優良法人へ

2023年の健康経営優良法人の認定要件において、「健康宣言の社内外への発信」は大規模法人部門・中小規模法人部門ともに必須項目となっています。

4. 健康宣言を出す方法

中小規模法人部門で、健康経営優良法人の認定を受ける場合に必要な健康宣言。どのように宣言をすればいいのか、具体的に見ていきましょう。

4-1. 健康宣言事業に参加する

健康経営に取り組むことが経営方針として決まったら、自社が加入する健康保険組合に問い合わせ、健康宣言事業の実施の有無を確認しましょう。例えば、全国健康保険協会では、健康経営に取り組む企業の健康宣言策定を事業として支援しています。
加入している健康保険組合で実施していない場合は、自治体が実施している健康宣言事業でも代替可能です。企業が属する自治体の取り組みを調べ、積極的に参加しましょう。

4-2. 社内広報や全社会議で社内に周知する

各健康保険組合や自治体の健康宣言事業に参加する場合、健康づくりへの取り組みに関するチェックシートや応募用紙などを提出します。その後、提出先から健康宣言の証が届きます。
健康宣言の証を会社の受付や社内に掲示したり、社内広報や全体会議で報告したりして、従業員に周知しましょう。

4-3. ウェブサイトやプレスリリースで社外へ知らせる

健康経営の取り組み始めたことを、ウェブサイトやプレスリリースを通じて社外に告知します。健康宣言の証を掲載するのも効果的です。
経営理念のひとつとして明文化して発信することで、顧客や投資家からの信頼が高まります。

5. 健康宣言後の健康経営への取り組み方

健康宣言をしただけでは、健康経営をしていることにはなりません。健康宣言後の健康経営への取り組み方について、4つのステップに分けて解説します。

健康経営に取り組むことを宣言する

5-1. 社内の体制を整える

健康経営に取り組むことを社内外に向けて宣言すると同時に、社内体制を整えていきます。
健康経営を全社的な取り組みとして遂行するには、経営陣をはじめとするリーダー層が中心となって積極的に取り組むことが大切です。リーダー層が率いる委員会や健康経営専門部署を設置するほか、関係の深い人事部との連携体制も構築しましょう。
必要に応じて外部の専門家を招聘したり、関係者に健康管理に関する研修を実施したりすることも検討してください。

5-2. 社内における健康課題を確認、把握する

ストレスチェックや健康診断受診率をもとに、社内の健康課題を確認しましょう。有給消化率、平均残業時間、休日出勤率なども課題把握に役立ちます。

5-3. 健康課題を解決するための計画を策定し、実行する

社内における健康課題を解決するための具体的な取り組みを策定し、実行します。例えば、下記のような取り組みがあります。

<健康課題への取り組み例>

  • 管理栄養士によるセミナーを実施する
  • ヨガ、ウォーキング、ストレッチなどの運動プログラムを導入する
  • 健康管理アプリ(ヘルスケアアプリ)を導入する

5-4. 成果を評価し、見直す

課題の状況を確認し、取り組み前後の状態を評価します。改善が見られない部分や新たな課題などを洗い出し、PDCAサイクルを回して精度を高めていきます。

6. 健康経営の取り組み項目

健康経営に取り組むにあたり、健康課題を改善するための方法はさまざまです。取り組むことができる項目は会社の状況によって異なりますが、ここでは代表的なものを6つご紹介します。

6-1. セルフメディケーション研修

従業員一人ひとりに健康への自覚を持ち、不調を感じたら自主的、かつ早期の手当てを促す研修を行います。

6-2. 定期健康診断

全従業員に対して、定期健康診断を実施します。

6-3. ストレスチェックの実施

50人以上の従業員がいる事業所は、全従業員に対して年に1回のストレスチェック実施が義務づけられています。

6-4. 産業医面談

従業員の時間外労働が1ヵ月あたり80時間以上あり、ストレスを自覚している場合や、ストレスチェックで「高ストレス」と診断された場合に、産業医面談を行って健康的な就労を支援します。

6-5. 過重労働の削減

従業員の状況に気を配り、長時間の残業や休日出勤などの過重労働の削減に取り組みます。

6-6. 運動機会の提供

福利厚生を活用し、社内で部活動を推奨したり、全員が参加できるオンラインの運動プログラムを実施したりします。
また、企業向けの健康管理アプリ(ヘルスケアアプリ)を導入することで、自主的に運動する機会を提供し、健康管理をしやすくします。

7. 中小企業の健康経営取り組み事例集

続いては、実際に健康経営に取り組んでいる事例をご紹介します。健康管理アプリ「グッピーヘルスケア」を導入して成果を上げている企業の事例を参考に、健康経営の取り組みをご検討ください。

7-1. 運動習慣が多くの社員に定着!:オーム乳業株式会社

オーム乳業株式会社は、福岡県大牟田市に本社を構える乳製品メーカーです。
健康診断の結果改善に向けてジムの月会費補助を開始したものの、思うように利用者が集まらず、グッピーヘルスケアを導入。すると、昼食後に散歩をするなど、歩く社員が目に見えて増えました。さらに、楽しんで取り組んでいる様子を見たほかの社員による、新たな参加が相次いでいます。

オーム乳業株式会社のグッピーヘルスケアを活用した健康経営

7-2. ゲーム感覚でウォーキング。健康診断再検査がゼロに!:株式会社斉藤総業

千葉県船橋市を中心に、土木業を営む株式会社斉藤総業。
建設業界の「きつい」というイメージを改善するため、働き方改革を進めていました。その一環でグッピーヘルスケアを導入したところ、社員がゲーム感覚でランキングを争い始め、なんと健康診断の再検査対象者がゼロになるという快挙を成し遂げました。

建設業界でもできる!社内に意識変革を起こした斉藤総業の健康経営

7-3. 社員の健康への意識改革に成功!:株式会社バーテック

株式会社バーテックは、工業用ブラシなどの設計や開発、製造を手掛けるメーカーです。
社内の健康意識が、精力的に活動する派とまったく関心がない派で、二極化していました。そこで、意識改革としてグッピーヘルスケアを導入し、毎月歩数ランキングを公開することに。このことがきっかけで、周りの人と運動を共有できることがやりがいになり、社員同士で歩数を競い合うなど、日常的な生活習慣の改善が進んでいます。

健康経営は経営理念の具現化-株式会社バーテックのグッピーヘルスケア導入事例

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